各地の活動紹介


全国で活動している団体のご紹介です

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設立  2023年8月17日 会員 26 名 (2024年4月現在) 

 私たちは、群馬県で活動する医療通訳者の有志が集まって作った団体です。

 群馬県在住の多くの外国籍、あるいは日本語を母語としない方が、病気や怪我で受診、あるいは相談を受ける際に、より多くの医療機関や保健所、関係施設で医療通訳を受けられるような環境の整備を目指しています。

 私たちは、医療通訳者として言語や通訳の倫理、行動規範、さらに医療や制度、多様な文化を学ぶことの大切さを理解し、その習得に努力します。そして、医療機関など関係する皆様と直接つながり、顔が見える環境の中、より良い環境を作るため活動します。  

 多くの医療機関や保健所、施設などで医療通訳者が受け入れられることを願い活動します。近年急速に進んだ通訳アプリや電話通訳サービスが実際に活かされている様子も、その中で把握できると考えます。

 制度の普及には、絶えず、居住する多くの皆さんに状況を理解していただき、関係する皆さんとのパイプを太くしていくことが大切です。団体は、2023年8月に設立しましたが、群馬県での医療通訳制度の普及活動は2013年から続けて参りました。講習会やシンポジウムの開催、災害訓練の参加など日本語を母語としない方の環境を共有する中で、これまで培ってきた経験を活かし活動を進めます。

 

<活動内容> 

①医療機関等への医療通訳者名簿提供、患者個人への通訳者紹介

②講習会  

③医療通訳制度普及のための企画

<対応言語> 英語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、ベトナム語、ネパール語、

タイ語、インドネシア語、シンハラ語ほか

 

 当協会では、県内在住の外国人を取り巻く医療の現状把握と課題整理のため、平成23年に外国人医療支援検討委員会を設置し、医療機関と在住外国人の双方に対してアンケート調査を実施しました。検討委員会から今後の方向性などについて提言を受け、平成25年度からは、当協会通訳ボランティアの中から参加者を募り、中国語の医療通訳サポーターの養成講座を実施、その後県内の外国人住民の状況の変化などに合わせて、中国語に加えて、英語、ポルトガル語、ベトナム語の医療通訳サポーターの養成講座を実施しています。

 また、当協会では、医療・保健・福祉従事者対象に外国人対応セミナーを毎年開催しており、各分野における外国人患者等の特性や配慮について対応事例などをもとに学んでいるほか、養成講座受講者の有志で組織した「メディサポふくい」の設立をサポートし、県内外国人患者受入れ拠点病院などと医療通訳派遣体制の構築に取り組んでいます。

 今後、多様化するニーズに対応していくため、対応可能言語の拡大や医療・保健・福祉分野での理解促進に一層取り組でいく所存です。

 シェアは、1983年に草の根の立場から行動を起こした保健医療従事者と学生を中心に結成された国際保健NGOで、すべての人が心身ともに健康に暮らせる社会を目指し、“いのちを守る人を育てる”保健医療支援活動を進めています。

  日本国内では、1991年の在日外国人への健康相談会開催から活動を始め、日本に住むタイ人ボランティアグループとのエイズ啓発活動、保健医療従事者や当事者の相談に対応する外国人医療電話相談、結核やHIVを中心とした医療通訳派遣等を行ってきました。

  2016年からは外国人母子の健康に関する事業も開始し、行政と協働にて外国人向けの母親学級開催や母子保健情報の翻訳資料作成、外国人保健ボランティアとの妊産婦訪問等を行っています。

 また2021年からは、母子保健通訳相談窓口を開設し、現在通訳派遣(対応)は母子保健分野に力を入れ活動しています。外国人母子が必要な保健サービスにアクセスでき、日本で安心して出産・子育てを行えるように、そして支援者が、外国人母子への理解を深めニーズに添ったサポートを行いやすくなるよう、活動しています。

  通訳に関しては、現在47名の医療通訳者とともに16言語の通訳に対応しています。

 

 

【対応言語】英語、中国語、ネパール語、ベトナム語、ミャンマー語、フィリピン語、タイ語、ハングル、モンゴル語、インドネシア語、クメール語、ヒンディー語、ベンガル語、ポルトガル語、スペイン語、フランス語 

 

 言葉の障壁により、得られる医療や保健サービスに差がでることなく、日本に住む人々が安心して暮らせる社会を目指し活動を続けていきます。

 奥州市国際交流協会は、奥州市委託事業として、奥州市医療通訳派遣システムを運営しています。

 

 岩手県奥州市では、国際リニアコライダー(素粒子物理学の大規模研究施設)の誘致をしており、多国籍の人々を受け入れる環境を整えています。奥州市医療通訳派遣システムは、平成27年4月1日から運用し、外国人住民が安心して医療サービスを受けられるよう、医療機関へ医療通訳ボランティアを派遣しています。昨年度は医療機関のみならず、ラグビーワールドカップ2019岩手・釜石開催の折、ファンゾーン救護所へ派遣しました。

 

 岩手県は、医師や看護師といった医療の中枢を担う医療従事者数の割合が全国比でかなり低い割合を占めている医療過疎地域です。外国人の患者さんに医療通訳者が同行することによって地域医療の現場の負担の軽減に寄与していると考えます。

 

【対応言語】 英語、中国語、韓国語、タガログ語、ベトナム語

【登録通訳】 49名(英語31名、中国語13名、韓国語2名、タガログ語3名、ベトナム語1名)

【派遣先病院】 奥州市及び近隣市町村にある7つの市立・県立病院

      (各病院と覚書を締結し、病院賠償責任保険が適用される)

【研 修】 RASCコミュニティ通訳支援センター(Cots)から講師を招き、年に2回程度実施。新規ボランティア発掘と既存ボランティアのフォローアップを兼ねている。

・講義内容:多文化に関する知識、医療通訳の倫理、身体組織・病気の知識、通訳技術の基礎等

・模擬通訳:診察室を想定したロールプレイ形式で練習

・セレクション:合格者は医療通訳ボランティア登録

 私たちの活動を紹介させていただく前に、まずこのニュースレターを皆様が手に取られる頃、COVID-19の感染制御への道筋が見えていることを心から祈り、各所で力を尽くされていらっしゃる皆様への敬意とエールをお伝えしたいと思います。

 AMDA国際医療情報センターの活動は、理事長が勤務医としてインドシナ難民支援センターへサポートに入った折に、言葉のハードルのみならず、文化・社会背景の違いから受診の困難さを抱える外国人患者と出会ったところから始まりました。当初は任意団体としてスタートしましたが、その後の法整備に合わせ特定非営利活動法人となり、すでに団体設立から34年間にわたって活動を継続しています。

 

 その活動内容は、言葉の通じる医療機関情報の提供を柱とし、日本の医療や保険制度の仕組みを説明することで、日本でスムーズに受診するための情報としてお伝えしています。電話医療通訳にも対応していますので、相談電話から受診先での受付、診察、薬局、会計など必要に応じてコミュニケーションをサポートすることが可能です。

 現在は8か国語で対応しています。同じオフィスに様々な文化を背負ったスタッフが集まり、チームワークで一つ一つの相談に対応しているので、小さな多文化共生社会の縮図となっています。

 

【対応言語】

英語、中国語、韓国語、タイ語、スペイン語、ポルトガル語、フィリピン語、ベトナム語(フィリピン語とベトナム語は電話医療通訳へ対応していません)

 

【緊急プロジェクトについて】

 COVID-19の感染拡大に伴い、4月10日から5月20日までの期間限定で、対応時間を拡大してコロナウィルス関連の多言語相談を展開しました。各地の自治体、国際交流協会でも情報を拡散していただき、たくさんのご相談を受けています。患者さんを孤立させないという使命のもと、必要な情報を提供しましたが、アフターコロナの社会で外国人居住者が生き抜いていくためには、今まで以上に地域の相談窓口やサポート団体との連帯が求められると感じています。プロジェクトのご報告はセンターのWebsiteをご覧ください。

 岐阜県では、外国人住民が安心して医療機関を受診することができるよう、また、県内の医療機関が円滑に診療できる体制を整備することを目的として、一定レベル以上の知識及び技術を持った医療通訳ボランティアを県内医療機関に斡旋する「岐阜県医療通訳ボランティア斡旋事業」を実施しています。(事務局は岐阜県国際交流センター)

 

【対応言語】タガログ語、中国語、ポルトガル語

岐阜県に住む外国人住民数の上位3か国(フィリピン、中国、ブラジル)に対応

平成24、25年度の2年間実証実験の後、平成26年度より本格稼働.

【登録通訳】65名(タガログ語12名、中国語32名、ポルトガル語21名)

【提携病院】県内15医療機関(令和元年10月現在)

【派遣実績】年間約250件(平成28年度:241件、29年度:248件、30年度:253件)

【研修】岐阜大学医学部と協力して毎年研修を実施。 毎年約50~60名(参加者の約9割が外国人)が参加

・医療通訳者の心構え、基礎的な医療知識、通訳技術の講義

・バーチャル病院実習(医学生が用意した内科、産科などの各ブースをまわる)

・診察室での通訳を想定したロールプレイ体験 

その他、ボランティアのスキルアップを目的としたフォローアップ研修、医療通訳ボランティア登録試験を年1回実施し、ボランティアの育成及び新規発掘を行っていきます。

 

 今後も、日本語に不安を持つ外国人住民が安心して医療が受けられるよう、医療機関との連携の強化やボランティアの育成を図り、体制整備を進めていきたいと思います。 

*「ウェラワーリー」とはタイ語で「時間の流れ」という意味

 

 ウェラワーリーは、2010年パープルダイヤルでタイ語によるDV相談と同行支援を受けたタイ語メンバーを中心に設立され、2012年から多言語のホットラインと同行支援・通訳事業に取り組んでいます。

【活動内容】DVや家庭の問題を抱える外国出身の女性とその子どもたちへの支援。

 主に、各国語による電話相談、同行支援、同行通訳。特に同行通訳の活動に

 力をいれています。

【対応言語】タイ語・タガログ語・中国語・スペイン語・ポルトガル語。

 他に英語・ベトナム語等

【派遣先】法律相談、家庭裁判所、行政の窓口、福祉関連機関(保健所、

 児童相談所等)、医療機関、教育機関、入国管理局、警察、施設・シェルター等

【派遣数】 1年に約280件 

【活動地域】東京を中心に関東圏 

 

 特徴としては、行政の女性相談や配偶者暴力被害者支援センターなどの支援や一時保護を受けている期間の通訳派遣とともに、独自の相談窓口を持っているため、支援に繋げるための同行通訳や行政の支援や保護の終了後にも同行通訳支援が可能だということです。具体的には離婚調停や子どもの教育機関や福祉の手続き等に同行通訳を行います。

 

 公益財団法人しまね国際センター(SIC)は、通訳に関する相談が増加していたこと、県内に通訳派遣システムを整えている団体がなかったことから、外国人住民が島根県で安心して暮らせるように、2007年(平成19年)から、コミュニティ通訳ボランティア派遣事業を始めました。

島根県の外国人住民は、8,875人で、75の国・地域となっています(2018年12月末現在)。国籍順にみると、①ブラジル、②中国、③ベトナム、④フィリピン、⑤韓国・朝鮮の順で、ここ数年ブラジル人やベトナム人の増加が顕著です。

 最近のコミュニティ通訳ボランティアの派遣実績は、2016年度190件、2017年度209件、2018年度209件です。(医療通訳以外も含む。)このうち医療に関する通訳が約7割を占めています。登録者は、60名(英語33名、中国語17名、ポルトガル語6名、タガログ語3名、韓国語1名、スペイン語2名・重複あり)です。ボランティアの登録言語や登録地域に偏りがあり、さらなる制度の充実が必要です。

当センターのコミュニティ通訳ボランティアの特色の1つは、外国人住民の方が家の近くの病院に行くときでも安心してもらえるように、特定の病院に限定することなく、すべての病院へ通訳を派遣していることです。2018年度は医療の派遣実績の約4割が個人病院です。

 

 今後、医療機関との連携を深め、適切な通訳派遣ができるよう取り組んでいきたいと思います。

 佐賀県国際交流協会では、医療通訳サポーターという医療現場での言葉のボランティアを育成する講座を開催しています。講座の開催にあたっては、広く一般市民に医療通訳について知っていただくために初めの数回は公開講座としています。その後8回程度にわたって、医療通訳サポーターとして登録し活動することを希望される方々を対象に、必要な基礎知識や医療通訳サポーターとしての心構え、そしてロールプレイ等を通して実践に結びついたカリキュラムを受講していただきます。

 現在、派遣ができることを前提に登録している医療通訳サポーターは英語18名、中国語9名、韓国語3名、タガログ語1名いらっしゃいます。医療通訳の派遣件数は、派遣制度開始のH25年度より、合計692件(H31年3月31日現在)となりました。医療通訳派遣制度において医療通訳サポーターのみなさんは重要な存在であり、在住外国人は安心して医療サービスを受けることができます。

 佐賀県は外国人散在地域であり、かつ、在住外国人は特定の国々の出身者に限られません。県内で一番多い外国人住民はベトナム出身者であり、必ずしも使用言語が英語、中国語、韓国語等ではありません。文字通り多言語対応が必要になります。

 そのような県内の状況をふまえ、当協会では昨年2018年に多言語コールセンターを導入しました。現在、県内すべての20市町の市役所や町役場等行政機関、及び救急告示病院等医療機関で、事前に登録した電話回線からコールセンターに電話をすれば、365日24時間、17言語で対応ができる通訳につながります。この電話通訳サービスにより、日本語が難しい外国人住民は通訳が必要である事を職員に伝えれば、円滑に生活相談・医療相談ができます。

 

 今後も、県内のすべての外国人につながり、誰一人として困り事を抱えている外国人を取り残さない活動を当協会は続けていきたいと思っています。

 平成20年度に外国人相談窓口、21年度に行政通訳派遣制度を立ち上げたところ、潜在的にあった医療通訳に対するニーズが少しずつ浮き彫りになってきました。そこで、平成23年度に病院・市・NPOとの協働で「医療通訳派遣事業検討協議会」を発足し、RASCの西村さんをプログラムアドバイザーに迎え、アドバイスを受けながら北九州市の実情に合わせた医療通訳派遣のシステム作りを行うと共に、医療通訳者の養成を行いました。

 24年度はモデル事業として中国帰国者向けの健康相談会に通訳者を派遣するなどして通訳者の実地研修を重ね、25年度から本格的に市内の病院への派遣を開始しました。制度開始当初は、当協会と派遣協定を結んだ市立病院等拠点病院への派遣を中心に行ってきましたが近年、市内在住外国人市民からは、「怪我をしたので近くの整形外科を受診したい」とか「目の調子が悪く近くの眼科を受診したい」等、身近なクリニックへの受診希望が増加しています。そのため、拠点病院と協定書を取り交わし派遣を行う制度に加え、平成28年度から様々な診療科目のクリニックと簡単な登録手続きで医療通訳者を派遣する、登録病院制度を開始しました。

 

 今後、北九州市でも医療通訳派遣がますます定着し、外国人が安心して医療を受けられるようになればと思います。

 ことばが通じないため医療機関を受診する際に困っている外国人がいて、医療機関側も外国人患者の受け入れに困っていて、このためにお金を出す人が誰もいない、という状況のために私たちができることがないだろうかと考えた13名の有志が2009年4月に札幌医療通訳グループ(SEMI:Sapporo English Medical Interpreters’ Group)を設立しました。 

 このときに、通訳料や交通費を患者さんから取るかどうかを考えた末、医療通訳がどんなに便利で必要なものかをまずは知ってもらうため、医療機関からも患者さんからも料金はいただかないということで、活動を始めました。初年度の通訳派遣件数は56件でしたが、その後は右肩上がりに増えて行き、創設以来2016年度までの8年間の通算派遣件数は3077件となりました。これはクライアントから費用をいただかないボランティア通訳の件数で、SEMIの会員が個別に病院やエージェントとの契約で行う有償通訳を入れるとSEMI会員が札幌で行っている医療通訳の全体の件数はさらに増えます。現在は25名の会員がいて、通訳者14名、他に研修者、Web担当、医療専門職等のスーパーバイザーがいます。

 

 私たちの活動は、外国人の患者さんの医療機関受診や、札幌市の母子保健事業の一環である保健センターからの家庭訪問、健診などが中心です。この他に、公益財団法人札幌国際プラザとの共催で外国籍市民のための母子保健セミナーの開催や、医療従事者を対象とした英会話セミナーの講師を担当しています。ホームページでの様々な情報発信も行っています。例えば、札幌市の赤ちゃんのための予防接種のクーポン券となる予診票の英語版を作成し、SEMIのホームページからダウンロードしてそのままクーポン券として使えるようになっています。

 私たちのクライアントの9割が北海道大学の留学生と外国人研究者およびその家族です。行政だけではなく、北海道大学とも連携した活動となっています。また、日本学生支援機構の中島記念財団からの助成金や札幌国際プラザとの共催事業への助成もSEMIの活動を支えています。

  糸魚川国際人材サポート協会(IISA)は、市の多文化共生社会への橋渡しを目指して、2009年に設立されました。企業、個人のサポーターにより構成される協会です。

 

 糸魚川市は人口43000人ほどの小さな市で、在住外国人のうち日本人の配偶者が70%ほどを占めています。市の高齢化が進むなか、次の世代を担う在住外国人が住みやすい環境を整えるため、地域で活躍できる人材を育成しています。活動の一つである「コミュニティ通訳」は、医療・行政・教育分野で、英語・中国語、韓国語での通訳を利用できるシステムです。医療通訳は病院との連携もでき、年3回各師長との会議を持ち、情報交換や通訳の改善等を行っています。

 

 2017年からは、市全域のクリニック(歯科医を除く)にも医療通訳が入れるようになりました。7月には「RASCコミュニティ通訳支援センター(Cots)」の協力で、「医療通訳フォーラムin糸魚川」を開催し、「大都市と小都市」、「点から面へ」をキーワードに、各地域で医療通訳実務を行っている人々が集まり、医療通訳システムの構築・運営のあり方と通訳人材の効果的な育成方法を議論しました。

 

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 当協会が保健・医療分野の通訳事業に取り組むことになったきっかけは、地域の保健師からのSOSにありました。宮城県をはじめとするこの東北地域では、アジアからの国際結婚移住者が県内各地に点在するという大きな特徴があり、母となった彼女たちが乳児健診などの場で言葉の支援を必要としていたのです。

 しかし当時はまだ、健康や命に関わる分野に資格基準も曖昧な市民通訳を繋ぐことには否定的な意見も聞かれた時代でした。が、困っている現場を看過することはできず、折よく間近に「ワールドカップサッカー大会」や仙台青年会議所がホストとなる「アジア太平洋会議」などが迫っていたことから、本県がかつて経験したことのないほど多くの外国人を受け入れなければならないという危機感を訴えつつ行政の保健医療関係部局や医師会などとの協議を経て、2002年2月『MIA保健・医療通訳サポーター育成・紹介事業』の立ち上げに至りました。

 

 以来、医療分野だけではなく保健分野にも拘った運用を行ってきており、近年増加している結核患者対応においては、仙台市健康福祉局との間で「外国人等結核者等に対するサポート業務委託」を締結し、合同で研修会も実施しています。

 登録者は、定住外国人の社会参画も進んでいることから、2017年3月末現在、28言語153人を数えています。

 

 一方、少しずつ理解は進みつつあるものの、この15年間の最大かつ不変の課題は、医療機関での費用負担が進まないことです。私たちは、事業発足以来、医療従事者にとっても安心な診療とするための通訳活用を謳っており、一日も早く「療養の給付の対象となるサービス」に位置付けられることを願っております。

 HIVに関する包括的多言語支援

 Center for Health and Rights of Migrants(CHARM)は、日本でHIV/AIDSの感染が分かった外国籍の人々を支援する団体として2002年に大阪で活動を始めました。1990年後半には、建設業や性風俗産業などの業種で働く労働者が劣悪な労働現場で働いており、HIV/AIDSの患者も多く2000年には新規にHIV感染が分かった人の 20%(注1)が外国籍の人でした。

 

 CHARMでは、HIV診療時等への医療通訳派遣の実施はもとより、日本語以外の言語を母語とする人が理解できる言語で書かれた性感染症に関する資料の作成、自治体やNGOによるHIV検査の多言語化への働きかけと実施への協力など、HIVとの接点を持った人が途切れなく言語の面で不安なく支援されることを目指してきました。

 HIV/AIDSを取り巻く医療の状況は薬の開発と共に20年の間に大きく変わりましたが、HIVに関する理解の広がりや偏見の解消、日本語以外の言語を母語にする人達への配慮については20年間で改善されたとは言いがたい現実があります。日本での治療方法や社会福祉制度に関する情報を日本語以外の言語で見つける事は、いまだに難しいのが現実です。

 

 CHARMでは2017年度にホームページを改訂し、医療や福祉に関する新しい情報を8言語で提供していきます。HIVや社会福祉について知りたい時に使っていただけるHPにしていきたいと思います。(http://www.charmjapan.com)どうぞ宜しくお願いします。

(注1)厚生労働省エイズ動向委員会「平成12年エイズ発生動向年報」

 静岡県国際交流協会は、平成元年11月、民間の国際交流活動の拠点として設立されました。

  県内の病院では、専属通訳者が在籍する病院は少なく、病院も外国人患者も大変不安を抱えての診療を余儀なくされていることから、当協会では、外国人相談員や病院からの要望を受け、外国人医療支援事業として、病院と連携しながら、様々な事業に取り組んでいます。

 

 平成25年度に、静岡県内医療機関の外国人受診者対応に関する現状調査を行い、平成26年7月から、静岡県の中部拠点病院として、静岡済生会総合病院へポルトガル語・スペイン語通訳対応の医療通訳者を派遣しています。

 

 併せて、医療通訳者を対象とした医療通訳研修会や医療従事者を対象とした外国人患者への接し方講座を東・中・西部の拠点病院にて行い、医療通訳の役割や医療通訳者を介しての診療にご理解をいただきながら、その他の病院へも医療通訳者の派遣を行っています。

 

 1999年の団体設立後、さまざまな相談から医療通訳の必要性を実感し、2003年から独自に助成金を得て医療通訳システム構築に乗り出した。2011年からは協力病院が費用を一部負担する現行のモデル事業を行っている。現在、協力病院は6病院。患者が病院に依頼し、病院からの依頼でFACILがコーディネート、医療通訳者が当日受付から診察、検査、会計まで随行している。

 モデル事業開始の2011年度は6件のみの利用だったが、患者間で情報が広がり、昨年度は362件となった。医療通訳の利用により患者と医療従事者の意思疎通がスムーズになり、医療従事者がわかりやすい説明を心がけるようになるなど良い変化が起こっている。医療現場でのコミュニケーション不足は患者の生死に関わる場合もあり、患者と医療従事者双方にとって医療通訳は重要である。しかし、その手配や費用負担は患者が負うものという考え方が根強く、社会的に必要なものという認識に至りにくい。そこで医療通訳の意義を伝えるために、「医療機関向け」医療通訳研修を毎年行っている。さらに今年度は行政や市民団体、外国人コミュニティと協力し、医療通訳の制度化を目指す研究会とオープンフォーラムを開催し、国への提言を準備中である。

 神奈川県医療通訳システムの協働事業者として医療機関に年間6000件以上の医療通訳派遣を行っているNPOです。

「人種・国籍・文化に関わらず、誰もが安心して医療を受けられるような社会にしなければならない」という強い思いを共有するボランティア、医療関係者そして外国籍住民自身等によって、医療通訳の養成と派遣を行う「MICかながわ」は生まれました。

 今年度の新人通訳養成研修が終わり、病院研修が始まりました。病院研修がすむと独り立ちです。

 

 MICかながわに医療通訳として登録されることが決まると、通訳者の方には予定を出していただきます。それに応じてコーディネーターブースから医療機関への派遣依頼が電話で入ります。病院からの依頼と通訳者をつなぐのが、コーディネーター(10数名)です。依頼内容の難易度と通訳者の実力・経験をはかりながらマッチングし、新人通訳が段階的に成長していけるようサポートします。最近は、一日で処理する件数が多くコーディネーターブースは、いつも戦場のようです。コーディネーター自身も登録通訳者が中心なので、病院からの情報聞き取りも何が必要か自分が行くときに照らし合わせて行うことができるのが強みです。

 

 継続的学習を支えるため、年に3回の全体研修の他、言語別学習会や病理学勉強会なども活発に開かれています。その他にも手芸部やバザー実行委員会などもあり親睦を深め合う機会も多いです。

 切磋琢磨しながら悩みや問題を共有し合える通訳者同士のつながり、また事務局・コーディネーターと協定病院ソーシャルワーカーの定期的合同研修を通じた連携強化など、関係者の緊密なつながりの上にMICの活動は成り立っています。

 

 今年度は、英語、スペイン語、ポルトガル語、タガログ語、ベトナム語、ロシア語を募集しました。

 医療通訳研究会(MEDINT)は2002年10月、外国人医療の問題を「言葉と医療」の視点から考える医療通訳者団体として神戸で設立しました。すべての外国人が、医療通訳を利用できる社会システム作りを目指しています。そのための活動として医療通訳者のための基礎研修を中心に、所属団体を超えて英語、中国語、スペイン語、ポルトガル語、タイ語の医療言語分科会外の開催、通訳ユーザーのトレーニング、医療通訳に関するシンポジウムなどを行っています。

 

MEDINT便り

 三重県国際交流財団(以下、MIEF=ミエフ)は、1991年に設立された地域国際化協会です。MIEFでは、2003年度から県の受託により、医療通訳研修を実施しています。研修終了後、登録試験を経て、MIEF医療パートナーに登録していただいています。

 現在、医療機関、保健センターや外国人患者からの依頼に基づき、医療パートナー(ポルトガル語、スペイン語、フィリピノ語、中国語、英語)を派遣する制度と、医療機関に医療通訳者(ポルトガル語)が常駐し通訳を行う医療通訳は一事業を実施しています。医療通訳は一事業は、3医療機関と3保健センターからの受託により医療通訳者を配置しています。

 

 今年度は、医療パートナー等、県内の医療通訳者が集う交流会を開催しました。通訳者同士が意見交換したり、先輩通訳者に質問したりと、活発に交流する様子見られました。